休館中の博物館が、メタバースで蘇る
2025年12月18日15時、東京都が運営するメタバース空間「Virtual Edo-Tokyo」の「Edo Area」にて、期間限定の新デジタル体験コンテンツが公開された。本コンテンツは、現在大規模改修工事のため休館中の江戸東京博物館とのコラボレーションによるもので、「江戸のおしゃれ」をテーマにした宝探しゲームとして展開される。
リアルな博物館が訪問できない今だからこそ、バーチャル空間でその魅力を体験できるこの取り組みは、デジタル技術による文化継承の新たな形を示している。本記事では、新コンテンツの詳細から、Virtual Edo-Tokyoの全体像、そして2026年3月に控える博物館リニューアルとの連携まで、包括的に解説する。
Virtual Edo-Tokyoとは?東京都が挑むメタバースプロジェクト

画像出典:クラスター株式会社 プレスリリース
「Virtual Edo-Tokyo」は、東京都が2024年1月にオープンしたメタバースプロジェクトである。国内最大級のメタバースプラットフォーム「cluster」上で展開され、江戸・東京の歴史、多様な文化、産業の魅力を国内外に発信することを目的としている。
プラットフォーム構成
Virtual Edo-Tokyoは、大きく分けて2つのエリアで構成されている。
- Edo Area:江戸時代の街並みや江戸城を再現。当時の持続可能な技術や知恵、独自の食文化などを探索できる
- Tokyo Area:現代の東京のカルチャーやトレンドを体験できるエリア
利用者は、clusterアプリ(無料)をダウンロードすることで、PC、スマートフォン、VRヘッドセット、さらにはWebブラウザからもアクセス可能である。VR機器がなくても気軽に参加できる点が、本プロジェクトの大きな特徴といえる。
オープニングの反響
2024年1月18日に開催されたオープニングイベントには、きゃりーぱみゅぱみゅ氏や松村沙友理氏が出演し、東京都知事のアバターもスピーチを行うなど、大きな話題を呼んだ。また、2025年3月には「江戸・東京の新名所inメタバース」をテーマに、一般クリエイターが制作した12のワールドが新たに接続されるなど、コミュニティ主導の拡張も進んでいる。
新コンテンツ「江戸のおしゃれ宝探し」の全貌

画像出典:クラスター株式会社 プレスリリース
ゲーム概要:収蔵品がモチーフの宝探し
今回公開された新コンテンツは、江戸東京博物館が所蔵する貴重な資料をモチーフにした「宝探しゲーム」である。プレイヤーはEdo Area内を探索しながら、隠されたアイテムを発見していく。これらのアイテムは、江戸時代の人々が身につけていた装飾品や生活小物をデジタル化したもので、ゲームを通じて当時の文化や美意識を自然と学ぶことができる設計になっている。
「江戸のおしゃれ」というテーマは、江戸時代の庶民文化を象徴するものである。限られた素材や色彩の中で、いかに個性を表現するかという創意工夫は、現代のファッションにも通じる普遍的なテーマといえるだろう。
報酬アイテム:限定アクセサリーをゲット
本コンテンツでは、以下の2種類のオリジナルアクセサリーがプレゼントされる。
| アイテム名 | 獲得条件 | 配布期間 |
|---|---|---|
| EDO兜アクセサリー | 追加クエストをクリア | 常時(コンテンツ公開期間中) |
| EDO印籠アクセサリー | 期間限定アンケートに回答 | 2025年12月18日〜2026年1月18日 |
これらのアクセサリーは、cluster内で自分のアバターに装着することができ、他のユーザーにも披露できる。コレクター心をくすぐる要素として、参加意欲を高める仕掛けとなっている。
参加方法
- clusterアプリをダウンロード(iOS/Android/PC/VR対応、無料)
- アカウントを作成(SNSアカウント連携も可能)
- 「Virtual Edo-Tokyo」で検索してEdo Areaにアクセス
- 宝探しクエストに挑戦
特別なVR機器は不要で、スマートフォン1台あれば誰でも参加できる敷居の低さが魅力である。
江戸東京博物館リニューアルとの連携戦略

画像出典:クラスター株式会社 プレスリリース
約4年間の大規模改修工事
江戸東京博物館は、1993年の開館以来初となる本格的な大規模改修工事を実施している。2022年4月に休館し、約4年間にわたる工事を経て、2026年3月31日にリニューアルオープンする予定である。
リニューアルの注目ポイント
改修後の博物館では、以下のような大幅なアップデートが予定されている。
新たな大型模型の設置
明治期の銀座を象徴する「服部時計店」の原寸大模型が新設される。高さ26メートルにも及ぶこの模型は、来館者が店内を通り抜けることで明治以降の東京ゾーンへと導かれる仕掛けとなっている。従来の「朝野新聞社」模型に代わる新たなシンボルとなる見込みだ。
空間演出の刷新
世界的建築家である重松象平氏(OMA NY代表)が館内外の空間デザインを監修。3階広場では約4,000平方メートルの天井・柱面に収蔵資料が大規模投影され、西側アプローチには江戸の世界へと誘う映像演出が加わる。
中村座模型の内部公開
江戸時代の芝居小屋を再現した「中村座」の模型は、外観だけでなく内部に入って楽しめるようにリニューアルされる。
バーチャルコンテンツが果たす「つなぎ」の役割
今回のVirtual Edo-Tokyoでの新コンテンツは、休館中の約4年間、博物館の存在を忘れさせないための重要な施策といえる。実際に訪問できない期間でも、バーチャル空間を通じて収蔵品に触れる機会を提供することで、リニューアルオープンへの期待感を醸成する狙いがある。
これは、コロナ禍以降に加速した「文化施設のデジタル化」の一つの成功事例として注目される。リアルな体験の代替ではなく、リアルへの導線としてバーチャルを活用するアプローチは、今後の博物館・美術館運営のモデルケースになりうるだろう。
クラスターとは?国内メタバース市場の雄

画像出典:クラスター株式会社 プレスリリース
会社概要
Virtual Edo-Tokyoの運営パートナーであるクラスター株式会社は、2015年7月に設立された日本のメタバース企業である。代表取締役CEOは加藤直人氏。本社は東京都品川区に所在し、従業員数は約200名規模となっている。
プラットフォーム「cluster」の実績
clusterは、スマートフォン、PC、VRデバイス、タブレット、Webブラウザなど、あらゆる環境からアクセスできるマルチアクセスバーチャルプラットフォームとして知られる。
主な数字
– アプリダウンロード数:200万以上(2024年7月時点)
– イベント累計動員数:3,500万人以上
– 最大同時接続:10万人規模に対応
音楽ライブ、カンファレンス、企業イベントなど多様な用途で活用されており、ユーザー自身がワールドやアバターを作成できる「ワールドクラフト」「アバターメイカー」といったクリエイター向け機能も充実している。
自治体・文化施設との連携事例
クラスターは、Virtual Edo-Tokyo以外にも、自治体や文化施設との連携を積極的に進めている。地方創生やインバウンド観光促進の文脈で、メタバースを活用した「バーチャル観光」の需要は今後も拡大が見込まれる。
特に、物理的なアクセスが困難な地域や、改修・休館中の施設にとって、メタバースは新たなリーチ手段として有効である。Virtual Edo-Tokyoはその先進事例として、国内外から注目を集めている。
体験レポート:初心者でも楽しめるVirtual Edo-Tokyo
アクセス方法(スマホでOK)
Virtual Edo-Tokyoへのアクセスは非常に簡単である。
- App StoreまたはGoogle Playで「cluster」を検索してダウンロード
- アプリを起動し、アカウントを作成(メールアドレスまたはSNS連携)
- 検索バーに「Virtual Edo-Tokyo」と入力
- Edo Areaを選択してワールドに入る
VRヘッドセットがなくても、スマートフォンやPCで十分に楽しめる。操作も直感的で、ゲームに慣れていない方でも問題なく体験できるだろう。
おすすめの楽しみ方
江戸城を散策しよう
Edo Areaのメインコンテンツである江戸城は、細部まで丁寧に再現されている。城内を歩きながら、当時の建築技術や生活様式を観察するだけでも価値がある。
宝探しは友達と一緒に
clusterはソーシャル機能が充実しているため、友人と一緒にワールドを探索できる。宝探しを協力プレイで楽しむのも一興だ。
アクセサリーを集めて自慢しよう
獲得したEDO兜やEDO印籠は、他のワールドでも装着可能。cluster内のSNS的な機能を使って、コレクションを他のユーザーに見せることもできる。
期間限定!お見逃しなく
EDO印籠アクセサリーがもらえるアンケートは2026年1月18日までの期間限定である。年末年始の休暇を利用して、ぜひ体験してみてほしい。
まとめ:リアルとバーチャルの融合が拓く未来
今回のVirtual Edo-Tokyo新コンテンツは、単なるエンターテイメントにとどまらず、以下のような意義を持っている。
文化継承の新たな形
休館中の博物館コンテンツをメタバースで公開することで、物理的な制約を超えた文化体験を可能にした。これは、アーカイブのデジタル化とは異なる「体験のデジタル化」であり、XR技術の真価が発揮される領域といえる。
自治体DXの成功事例
東京都が主導するメタバースプロジェクトとして、Virtual Edo-Tokyoは行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)の好例となっている。クラスターという民間プラットフォームを活用することで、迅速かつ柔軟な展開が可能になった。
リニューアルへの期待醸成
2026年3月の江戸東京博物館リニューアルオープンに向けて、バーチャルコンテンツは効果的な「つなぎ」の役割を果たしている。今回の体験を通じて、リアルな博物館への来館意欲が高まることが期待される。
今すぐ体験しよう
Virtual Edo-Tokyo「Edo Area」での新コンテンツは、2025年12月18日15時より公開中である。
clusterアプリのダウンロードはこちら
– iOS:App Storeで「cluster」と検索
– Android:Google Playで「cluster」と検索
– PC:公式サイト(https://cluster.mu/)からダウンロード
江戸時代のおしゃれ文化を、メタバースで体験してみてはいかがだろうか。
参考文献
- クラスター株式会社 プレスリリース(2025年12月18日)
- 江戸東京博物館 公式サイト
- Virtual Edo-Tokyo 公式ページ(cluster.mu)
- 東京都 報道発表資料



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