HTCの本気が見える!メタバースプラットフォーム「VIVERSE」完全ガイド ─ ノーコード3D作成からAI翻訳まで、100万人が使う次世代XRエコシステム

メタバース

VIVERSE Worlds
VIVERSE Worlds – 3DコンテンツのYouTubeを目指すホスティングプラットフォーム 出典: VIVERSE公式

VRゴーグルがなくても入れるメタバース

「メタバース」という言葉を聞いて、高価なVRゴーグルが必要だと思っていないだろうか。確かにMeta Questを被れば没入感のある体験ができる。しかしHTCが展開する「VIVERSE(バイバース)」は、その常識を覆すプラットフォームだ。

VIVERSEは、PC・スマートフォン・タブレットのブラウザから直接アクセスできるオープンなメタバースエコシステム。HTCアカウントすら必須ではなく、URLをクリックするだけで仮想空間に入ることができる。

2025年12月時点でアクティブユーザーは100万人を突破。VRヘッドセットメーカーとして知られるHTCが、なぜ「ゴーグルなし」でも使えるプラットフォームを作ったのか──それは、メタバースを一部のVR愛好家だけのものにしたくないという、HTCの明確なビジョンがあるからだ。

本記事では、VIVERSEの全容を徹底解説する。


VIVERSEプラットフォームの3つの柱

VIVERSEは単一のアプリではなく、複数のサービスが連携したエコシステムだ。その中核を成す3つのプラットフォームを紹介しよう。

VIVERSE Create ─ ノーコードで3D空間を作る

VIVERSE Create
VIVERSE Create – ノーコードで3D仮想空間を作成 出典: VIVERSE公式

「3Dコンテンツを作りたいけど、UnityもBlenderも使えない…」──そんな人のためにあるのがVIVERSE Createだ。

プログラミング知識や3Dモデリングスキルは一切不要。ブラウザ上で動作するエディターで、ドラッグ&ドロップの直感的な操作だけで仮想空間を構築できる。

内蔵テンプレートを選び、用意されたオブジェクトを配置し、画像や動画をアップロードするだけ。さらに、世界最大級の3Dモデル共有サービス「Sketchfab」と連携しており、数百万点の3Dモデルを自分のワールドに取り込める。

作成した空間は、マルチプレイヤー機能を追加してゲーム化することも、ECサイトとしてショッピング体験を組み込むことも可能。より高度なカスタマイズを求めるユーザーには、PlayCanvasなどのゲームエンジンとの連携もサポートされている。

VIVERSE Worlds ─ 3DコンテンツのYouTubeを目指す

VIVERSE Createで作られたコンテンツはどこでホスティングされるのか。その答えがVIVERSE Worldsだ。

HTCはVIVERSE Worldsを「3DコンテンツのYouTube」と位置づけている。動画コンテンツにYouTubeがもたらした革命──誰もが動画を作り、共有し、発見できる世界──を、3D没入型コンテンツで実現しようというのだ。

クリエイターは自分の3Dワールドやゲームをアップロードし、簡単なURLで共有できる。訪問者はダウンロード不要、ブラウザからワンクリックで没入体験に入れる。

WebXR対応により、Unity WebGL、Three.js、React-Three-Fiber、PlayCanvas、Babylon.js、A-Frame、Godotなど、主要なWebXRゲームエンジンで作成されたコンテンツをすべてホスティング可能だ。

VIVERSE for Business ─ 100人同時接続の企業向けソリューション

VIVERSE for Business
VIVERSE for Business – 100人同時接続の企業向けソリューション 出典: VIVERSE公式

ビジネスシーンでのメタバース活用を考えるなら、VIVERSE for Businessがある。

最大の特徴は、単一仮想空間で最大100人の同時接続をサポートすること。大規模なバーチャル会議、展示会、研修など、企業が必要とするシナリオに対応する。

共有された3Dオブジェクトをインタラクティブに操作(拡大・回転)でき、チーム全員が同じモデルを見ながら議論できる。Microsoft Outlookとの連携により、カレンダーから直接バーチャルミーティングに招待を送ることも可能だ。

VRヘッドセットがなくても、デスクトップやモバイルから一人称視点で参加できる「フラットスクリーンモード」も用意されている。プラットフォームはMicrosoft Store、Google Play、Apple App Storeで提供されている。


AI・先端技術の統合

VIVERSEは、最新のAI技術を積極的に取り入れている点も見逃せない。

AIパーソナルアシスタント

VIVERSEには、ユーザーのパーソナルアシスタントとして機能する革新的なAIが搭載されている。仮想空間内の場所に応じた情報を提供したり、音声コマンドでの操作をサポートしたりする。

特筆すべきは8言語対応のリアルタイム翻訳機能。英語、日本語、韓国語、繁体字中国語、簡体字中国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語──これらの言語間で即座に翻訳が行われ、言語の壁を越えたグローバルなコミュニケーションが可能になる。

音声テキスト変換機能も搭載されており、話した言葉がリアルタイムで字幕表示される。国際的なビジネスミーティングやイベントで威力を発揮する機能だ。

Polygon Streaming ─ 低スペックでも高品質体験

メタバースコンテンツは一般的にハイスペックなPCやスマートフォンを要求するが、VIVERSEは独自のPolygon Streaming技術でこの問題を解決している。

高ポリゴンの3D環境であっても、画面に表示されている部分だけを適切な品質でストリーミングすることで、低スペックデバイスでも滑らかな体験を提供。高速な読み込みとリアルタイムライティングを、幅広いデバイスで実現している。

最先端のアバター表現

アバターの表現力もVIVERSEの強みだ。

VIVEフルフェイストラッカーと連携すれば、唇、顎、頬、歯、舌など最大38種類のブレンドシェイプ60Hzで追跡。従来のVRアバターでは難しかった繊細な表情表現が可能になる。

また、VIVE Ultimate Trackersによる全身追跡もサポート。ベースステーション不要で、身体の動きを精密にアバターに反映できる。


対応デバイスとアクセシビリティ

VIVERSEの最大の特徴は、デバイスを選ばないアクセシビリティだ。

VIVE Focus Vision ─ HTCの最新ハードウェア

VIVE Focus Vision
VIVE Focus Vision – 2024年9月発売のHTCの最新XRヘッドセット 出典: PR Times – HTC NIPPON

もちろん、最高の没入体験を求めるなら、HTCの最新VRヘッドセットVIVE Focus Visionがある。2024年9月に発売されたこのデバイスは、コンシューマーとエンタープライズの両方をターゲットにした意欲作だ。

主要スペック:
解像度: 5K(片眼2448×2448ピクセル)
リフレッシュレート: 90Hz(DisplayPort接続時は最大120Hz)
視野角: 120度
チップセット: Qualcomm Snapdragon XR2 Gen 1
RAM: 12GB LPDDR5
ストレージ: 128GB(MicroSDで最大2TB拡張)
価格: $999

アイトラッキング内蔵で、自動IPD調整やフォービエイテッドレンダリング(視線追跡による描画最適化)に対応。デュアル16MPカメラによるフルカラーパススルーでMR(複合現実)体験も可能だ。

PC VR用途では、DisplayPort直接接続によるビジュアルロスレス伝送に対応。SteamVRタイトルをケーブル1本で高品質プレイできる。ホットスワップ可能なバッテリーと20分間の内蔵予備バッテリーも実用的なポイントだ。

マルチデバイス対応 ─ VRヘッドセット不要でも参加可能

繰り返しになるが、VIVERSEはVRヘッドセットを持っていなくても参加できる。

  • PC: Webブラウザからアクセス
  • スマートフォン/タブレット: iOS・Androidアプリまたはブラウザ
  • VRヘッドセット: VIVE Focus Vision、VIVE XR Elite、その他WebXR対応機器

この「デバイス非依存」のアプローチが、VIVERSEを他のメタバースプラットフォームと差別化している。VRChatやRec RoomなどはVRヘッドセット体験に最適化されているが、VIVERSEはあらゆる入口からの参加を歓迎する設計だ。


パートナーシップと活用事例

VIVERSEは単独で完結するのではなく、さまざまなパートナーとの連携でエコシステムを拡大している。

ピクシブ(VRoid)との連携 ─ アニメスタイルアバター

日本のユーザーにとって嬉しいのが、ピクシブの「VRoid」との提携だ。VRoidは、誰でも簡単にアニメ調の3Dアバターを作成できるサービス。

この連携により、日本のアニメスタイルで制作されたVRoidアバターがVIVERSEで利用可能に。自分だけのオリジナルアバターで仮想空間を歩き回れる。日本のクリエイティブ文化とメタバースの融合として、象徴的なパートナーシップだ。

教育分野での活用

VIVERSEは教育分野でも導入が進んでいる。

台湾の高雄大学米国テキサス大学オースティン校では、「WebXR 3D没入型創作」コースにVIVERSE Createが採用されている。学生たちはコーディング不要で3D仮想空間を制作し、創造性を発揮している。

2024年には、第1回グローバル大学「VIVERSE Spark」ハッカソンが開催され、40以上の大学が参加。WebXRベースのゲーム、インタラクティブアート、ソーシャル体験など、学生による没入型作品が披露された。

HTCは台湾教育省とも協力し、「教育メタバース」の発展を推進している。

外部プラットフォームとの統合

VIVERSE単体ではなく、他の人気プラットフォームとも連携している。

  • Beatday: ホログラフィック音楽体験
  • Engage: バーチャルコミュニケーション
  • VRChat: ソーシャル交流

これらのプラットフォームとの相互運用性により、VIVERSEユーザーはより広いメタバース世界を探索できる。


競合との差別化と今後の展望

メタバースプラットフォームは競争が激しい。Meta(Horizon Worlds)、Microsoft(Mesh)、Roblox、VRChatなど、多くのプレイヤーがひしめく中、VIVERSEはどう差別化しているのか。

オープンエコシステム

VIVERSEの最大の差別化ポイントは「オープン性」だ。

特定のデバイスに囲い込むのではなく、WebXRというオープンスタンダードを採用。A-Frame、React-Three-Fiberなどのオープンソースプロジェクトも積極的に支援している。

Metaが自社ヘッドセットを中心にエコシステムを構築しているのに対し、VIVERSEはハードウェアに依存しない戦略を取る。これはVRヘッドセットメーカーであるHTCとしては大胆な方針転換だが、メタバースの普及を本気で目指すなら、まずは入口を広げるのは理にかなっている。

ノーコードによる民主化

VIVERSE Createによるノーコード3D作成は、クリエイターエコノミーの民主化を促進する。

Unityで3D開発をするには学習コストがかかるが、VIVERSEなら誰でもすぐに始められる。これにより、技術者だけでなくアーティスト、マーケター、教育者など、より幅広い層がメタバースコンテンツを作れるようになる。

Web3・NFT対応の準備

将来的に、VIVERSEはWeb3やNFTにも対応する計画だ。

MetaMaskとの連携を通じて、NFTブラインドボックス、コンテンツオークションなどの機能が導入される予定。クリエイターが自分の3Dアセットをマネタイズできる仕組みが整備されつつある。


まとめ ─ VIVERSEの始め方

HTCのVIVERSEは、「VRゴーグルがないとメタバースは使えない」という先入観を打ち破るプラットフォームだ。

VIVERSEの魅力:
– デバイスを選ばない(PC、スマホ、VRヘッドセット対応)
– ノーコードで3D空間を作成可能
– AI翻訳で8言語対応のグローバルコミュニケーション
– 100人同時接続のビジネス利用対応
– VRoidアバターなど日本文化との親和性

始め方は簡単:
1. viverse.com にアクセス
2. アカウント作成(無料)
3. VIVERSE Createで自分のワールドを作成、またはVIVERSE Worldsで他のクリエイターのワールドを探索

VRヘッドセットを持っているなら、より没入感のある体験ができる。VIVE Focus Visionなら、5K解像度・120度視野角の本格VRを楽しめる。

HTCは、VRハードウェアメーカーとしての強みを持ちながら、「ハードウェアに依存しないメタバース」という一見矛盾する方向に進んでいる。しかしそれこそが、メタバースを一部のVR愛好家だけのものにしないための戦略だ。

100万人のアクティブユーザーを抱えるVIVERSEは、今後さらなる成長が期待される。メタバースに興味があるなら、まずはブラウザからVIVERSEを覗いてみてはいかがだろうか。


関連リンク
VIVERSE公式サイト: https://viverse.com/
VIVERSE Create: https://create.viverse.com/
HTC VIVE公式: https://vive.com/
VRoid(ピクシブ): https://vroid.com/


画像出典
– VIVERSE関連画像: VIVERSE公式サイト
– VIVE Focus Vision画像: PR Times – HTC NIPPON株式会社

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